日常生活で、肌身放さず持っているスマートフォンですが、海外でもスマートフォンはなくてはならないものです。
普段よりも使う時間が長い分、バッテリーの減りも早いためモバイルバッテリーも同様に必需品だといえるでしょう。
ただ、モバイルバッテリーを海外に持っていくときに、ルールを知らないまま持っていくと空港で無駄な時間を過ごす羽目になります。
「モバイルバッテリーなんて、特に気にせず海外に持っていけるでしょ?」と思うかもしれませんが、実は飛行機に持ち込むときのルールを知らないと面倒なことになります。
過去にモバイルバッテリーが原因で飛行機が緊急着陸する事故があった経緯があり、持ち運べる容量や個数に制限があるのです。
このページでは、海外旅行にモバイルバッテリーを持っていくときに注意しなければいけないポイントを解説していきます。
モバイルバッテリーは大きく3種類
モバイルバッテリーには大きく3種類のタイプがあります。
それぞれの電池にはメリットやデメリットがあるため、大雑把に解説していきます。
種類 | メリット | デメリット |
乾電池式 | ・海外で簡単に手に入る
・アルカリ乾電池やマンガン電池など、飛行機への持ち込み制限がほぼない |
・大きくてかさばる割に、充電できる回数が少ない
・乾電池を使うためゴミが出る |
エネループ(ニッケル水素電池) | ・制限がほぼないため、海外持ち出しに気を使わない
・リチウムイオン電池に比べるとちょっと安い |
・大きさの割に充電できる回数が少ない
・充電にやたら時間がかかる ・バッテリーがヘタリやすい |
リチウムイオン電池 | ・サイズの割にバッテリー容量が大きく、場所をとらない
・充電で再利用できるのでゴミが出ない |
・海外持ち出しに気を遣う |
この3つの中で、主流となっているモバイルバッテリーはリチウムイオン電池です。
リチウムイオン電池以外のモバイルバッテリーは、預け入れ荷物でも、機内持ち込みでもどちらでも問題ないため気にせず持っていきましょう。
自分が持っているモバイルバッテリーがどの機種に該当するかわからなければ、裏面を見れば書いてある場合がほとんどです。
上の写真のように、英語の小さな文字で書いあることが多いです。電池が取り外せないタイプのモバイルバッテリーは、たいていの場合以下の2種類のどちらかです。
Li-ion……リチウムイオン電池
Ni-MH……ニッケル水素電池
このうち、ニッケル水素電池は持ち込みに関して気にしなくて良いですが、リチウムイオン電池は気をつける必要があります。
裏面にどのタイプの電池か記載がない場合は、モバイルバッテリーの型名をインターネットで調べて確実に知っておくようにしましょう。
モバイルバッテリーは、機内持ち込み「のみ」OK
モバイルバッテリーは、ほぼ全ての航空会社で機内持ち込み「のみ」OKとしています。
機内に持ち込む小型のスーツケースや、リュックサックなどに入れる場合は海外へ持ち出すことができます。
では、空港のチェックインカウンターで預け入れる荷物の場合はどうかというと、預け入れは不可能だと考えてください。
リチウムイオン電池は「絶対に」預け入れ荷物にいれてはいけない
リチウムイオン電池は、ほぼすべての航空会社で「預け入れ荷物に入れてはいけない」というルールになっています。
もし預け入れ荷物にモバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池を入れてしまうと、最悪飛行機に乗れなくなるか、荷物が全部なくなります。
「ちょっとそれは大げさじゃない?」と思うかもしれませんが、飛行機が空港に引き返したり緊急着陸するほどの事故が過去に実際に起きているため、決して言い過ぎではありません!
たとえば、2016年にはサムスン電子が発売したGalaxy Note7が飛行機内で発火する事故が頻発し、各航空会社はSamsung(サムスン)端末の持ち込みを一切禁止にするなどの措置をとりました。
この事故の引き金となったのが、リチウムイオン電池です。
預け入れ荷物に入れられない理由
リチウムイオン電池を預け入れ荷物に入れられない理由は、リチウムイオン電池が衝撃や温度変化に弱いからです。
預け入れ荷物は飛行機の客室の足元にある「荷室」収納されます。
人が座っている客室は一定の気温が保たれていますが、荷室は客室よりも温度変化が激しいです。
屋外の気温が30℃以上の場合、出発時には荷室の気温が30℃あったのに、上空では5℃程度まで冷え込むことになります。(氷点下にならないよう調整されているようです)
この熱変化によって電池が膨張したり、接触しないように仕切られていた物質が接触して意図しない化学反応が発生すると、爆発事故が起きてしまうのです。
このような理由から、温度変化が激しい荷室に収納する預け入れ荷物にリチウムイオン電池を入れておくことができないのです。
もし預け入れると、空港内のアナウンスで呼ばれる
荷物を預け入れても、空港内のX線検査などで発見されるため、飛行機に搭載される前に取り除かれることが多いです。
ただし、日本の空港は海外に比べるとかなり親切なので、アナウンスで呼んでくれた上で、「モバイルバッテリーが荷物に混ざっていませんか?」と確認してくれます。
もし呼ばれてしまった場合は、恥ずかしいかもしれませんが空港職員の目の前で荷物が広げられて、手渡しで返してもらえる場合もあれば、保安上の理由から目の前で処分されてしまうこともあります。
ただし、丁寧な対応をしてくれるのは日本国内だけだと思ってください。
海外ではスーツケースの荷物が強制的に全部チェックされる場合も
日本国内ならモバイルバッテリーを預け入れ荷物の中に発見したら、それだけ処分して「あとはOKです」となって、確認作業が終わることが多いでしょう。
モバイルバッテリーを取り除いた後は、不要な荷物の詮索はしないように配慮してくれる場合もあるからです。(空港職員次第ですが……)
しかし、海外の場合はX線などのチェックに引っかかると、かなり厳しくチェックされます。
たとえば、バッグのポケットやポーチの中身を、空港職員の目の前で全部広げられることもありえます。
もちろん、危険物の検査の一環なので荷物に手を触れることは許されません。
リチウムイオン電池と全く関係ないものでも、危険物と判断されれば没収対象となるのです。
さらに、場合によってはテロリストの容疑をかけられてもおかしくはないため、警察に身柄を取り押さえられる恐れもあります。
海外ではスーツケースの中身が盗まれる恐れも
上記で解説したように荷物チェックで呼ばれる場合もありますが、勝手に荷物を開けられた上に、中身が盗まれる場合もあります。
たとえば、スーツケースに高級な服が入っていたり、現地で買ったお土産が入っていれば検査のついでに盗まれてしまう恐れもあります。
「危険物ではない」と説明しても、空港職員が危険物と判断したと言われてしまえば何も言えません。
現地語で話しかけられたら、こちらは何も言えないため不利な立場になります。
このように、とにかくモバイルバッテリーを預け入れ荷物に入れると面倒な対応をこなさなければいけなくなるのです。
海外旅行は外出時に充電が無くなるとヤバい!
モバイルバッテリーを預け入れ荷物に入れると、恐ろしいことになる話をしてきましたが、ぶっちゃけ預け入れ荷物に入れなければ良いだけの話です。
僕はどちらかというと方向音痴なこともあり、地図アプリが無いとここまで気軽に海外で生活することができません。
その他にも、動画の撮影や仕事のやり取りの多くをスマホで完結しているため、今やモバイルバッテリー無しで海外を旅するのは無理です。
これから海外を旅する人も、困った状態になったときのことを考えれば、モバイルバッテリーがあったほうが良いはずです。
では、機内に持ち込む上で、どのモバイルバッテリーを持っていけば良いのでしょうか。
iPhoneXを1回フル充電するのに必要な容量は約3,000mAh
モバイルバッテリーを複数個持っていたり、これから購入を考えているのであれば、スマホが何回充電できるかチェックすると良いでしょう。
iPhoneXを一回フル充電するために必要なバッテリー容量は約3000mAhと言われています。
参考までに、iPhone最新シリーズの詳細なバッテリー容量は次の通りです。
機種名 | バッテリー容量 |
iPhone8 | 1,821mAh |
iPhone8 Plus | 2,691mAh |
iPhone X | 2,716mAh |
iPhone XS | 2,658mAh |
iPhone XS Max | 3,174mAh |
iPhone XR | 2,942mAh |
たとえば、機内持ち込みできる電池容量の上限に多いのが27,000mhAのモバイルバッテリーです。
iPhoneX以降の機種であれば約8〜10回フル充電すると、モバイルバッテリーが底を尽きる計算になります。
実際には、バッテリーの自然放電で少しだけ減ることも考え、1割は差し引いて計算したほうが良いです。
僕の場合、移動や撮影までiPhone1台で済ませようとすると、1日2回充電する日もあります。
出国するときにバッテリーがフルの状態で行っても、3〜4日で使い切ってしまうのです。
モバイルバッテリーの容量が多ければ、現地でコンセントを使う回数をかなり減らせるため、充電ケーブルを忘れるリスクも減らせますね。
タクシーアプリが使えないと移動できない
フィリピンやカンボジアなど、東南アジアの首都を移動するのに欠かせないのがタクシーです。
ヨーロッパやアメリカの都市では、公共交通機関が発展しているのでタクシーを使うことはありませんが、公共交通機関が皆無な都市ではなくてはならない交通手段だといえます。
4輪自動車の典型的なタクシーだけではなく、3輪のトゥクトゥクや、通勤ラッシュ時には原付きタクシーの後ろに2人乗りなど形態はさまざまです。
ここで欠かせないのが、タクシーアプリです。
たとえば、東南アジアなら「Grab」というアプリを頻繁に利用しています。
昼に限らず、深夜1時〜3時など遅い時間の移動でも、タクシーで移動すれば安全に移動できるため、いつでも使える状態じゃないと心配です笑
電池切れになると、まともに英語が話せない人たちに道順を伝えなければいけないうえに、かなり高い確率でぼったくりリタクシーに遭遇します。
Grabなら700円程度で移動できるのに、ぼったくりタクシーだと4,000円ふっかけられることもありました。
マップが使えないとホテルに帰れない
海外で移動している最中には、地図アプリがないと本当に困ります。
僕はGoogle MAPのおかけでどこの国に行ってもホテルや観光地の移動で、道を間違えることなく簡単に往復することができます。
ではスマホのバッテリーが滞在中に無くなるとどうなるかといえば、その辺にいる人にホテル名を聞くしかありません。
しかし、ほとんどの人が地元のホテル名などいちいち覚えているはずがありません。
海外には勝手に道案内をはじめて、「案内したからお金払って!」としつこく絡んでくる人もいます。(何をされるかもわからない……)
面倒事に巻き込まれないためにも、自分のスマホで位置を確認するのは本当大切です。
スマホが電池切れ状態でホテルから出かけたり、ホテルに帰るのは本当に無理です。
和訳アプリが使えない
レストランやチケットを買うとき、なんだかんだ現地の人たちと話さなければいけない状況になります。
そこで重宝するのが、通訳アプリや和訳アプリです。たとえば、次のような会話は万国共通でよく使います。
- お会計はいくらになりますか?
- ナマモノですか?
- 飲み物はありますか?
- ○○までいくらかかりますか?
意外とこれらのことを英語で話しても、相手側が英語を話せず、結局現地語で返答されることがよくあります。
そこでGoogle翻訳などの通訳アプリを使って、日本語と現地語を設定してやりとりします。
英語や現地語が話せる人には不要なアプリかもしれませんが、日本語以外話せない人には必須のアプリなので、電池切れになると本当に困ります。
このように、モバイルバッテリーを準備して行かないと、万一スマホのバッテリーがなくなったときに海外で困ったことになります。
モバイルバッテリー選びの注意点
既にモバイルバッテリーを持っている人は、「容量」「手荷物で持ち運ぶ」の2点に注意すれば問題ないでしょう。
ただ、これからモバイルバッテリーを購入する人は、次のポイントに気をつけながら選んでもらえれば後悔しないかなと思います。
- 容量は100Wh(約27000mAh)がオススメ
- 持ち運びは1個にする(2個より1個のほうがGood)
モバイルバッテリーを2個買って持っていく人がいますが、帰国後に高確率で片方は使わなくなります。
モバイルバッテリーは満充電のまま使わないと劣化するため、全く使わないまま放置しておくと次回使えないなんてことが起きます。
それならサイズが多少大きくなったとしても、日常的に少しでも使ったほうが、トータルで使える回数が多くなるためオススメです。
航空会社別の、モバイルバッテリーの持ち込み制限一覧表
航空会社によって規定に細かい違いはありますが、リチウムイオンバッテリーの最大容量は160Wh(43,243mAh)未満で、持ち込み個数は2個以下となっています。
主要航空会社 | 持ち込み可否(100〜160Wh) | 持ち込み上限個数 |
日系(ANA、JALなど) | ○ | 2個 |
大韓航空 | ○ | 2個 |
エアアジア | ○ | 2個 |
アメリカン航空 | ○ | 2個 |
ユナイテッド航空 | ○ | 2個 |
デルタ航空 | ○ | 2個 |
ハワイアン航空 | ○ | 2個 |
エールフランス航空 | ○ | 2個 |
シンガポール航空 | ○ | 2個 |
チャイナエアライン | △(2個・航空会社許可要) | 2個 |
※中国は持ち込みに非常に厳しく、100〜160Whは航空会社の許可が必要。100Wh未満不要
LCC航空会社 | 持ち込み可否(100〜160Wh) | 持ち込み上限個数 |
エアーアジア(フィリピン・マレーシア・インド他) | ○ | 2個 |
セブパシフィック(フィリピン) | ○ | 2個 |
ジェットスター(日本・シンガポール他) | ○ | 2個 |
春秋航空(中国) | △(2個・航空会社許可要) | 2個 |
ノックスクート(タイ) | ○ | 2個 |
もしモバイルバッテリーを複数個持っていく人は、上限個数2個は超えないようにしましょう。
オススメのモバイルバッテリーはこれ!
僕がオススメするモバイルバッテリーは、Ankerの20,000mAh以上の容量があるモバイルバッテリーです。
モバイルバッテリーには色々なメーカーがありますが、僕のオススメはAnker社のモバイルバッテリーです。
Ankerのモバイルバッテリーが良いなというポイントは以下の3点です。
- 返品・交換がしやすい
- ワイヤレスイヤホンなど小さい製品の充電ができる
- とにかく充電が早い
アマゾンでAnkerのモバイルバッテリーを購入し、初期不良のものにあたってしまった場合でも着払いで返せばいいので安心です。
また僕は、スマホ以外にBOSEのQC35や通訳端末などいろいろな機器を持ち歩いています。
これらの端末も、モバイルバッテリーによっては電圧が低いせいで対応しておらず、充電できないこともありましたが、アンカーのモバイルバッテリーなら問題ありませんでした。
あとは、電流が4.2A(アンペア)とかなり電流出力が高いので、iPadのようなタブレットと一緒にスマホを充電できる安心感もあります。
これからモバイルバッテリーの購入を検討しているのであればこれらの情報も参考にしてみてください。
まとめ
モバイルバッテリーを海外に持っていく場合には、必ず「手荷物」として持っていくようにしましょう。
海外旅行のハードルが高いと思っている人でも、タクシーアプリや翻訳アプリなどを使えば安全に気楽に旅することができます。
スマホがいくら新しいからといっても、旅先では常に電源が切れないように事前に準備すべきでしょう。
快適な滞在にするためにも、スマホのバッテリーは常に切らさないようモバイルバッテリーを活用するようにしてください。
海外旅行に行く方で、海外旅行保険に加入していない人は多いです。
しかし、これって正直やばいです。こっちがひやひやしてしまうくらい、危ないです!
たとえば、アメリカで手術すると盲腸で300万円とかの費用になります。海外旅行保険加入していないと、これが自腹です。
ヤバいですよね。破産してしまいます。
そこで、海外旅行保険に加入しましょう。とはいっても、海外旅行保険付きのクレジットカードを発行すればオッケーです!
おすすめのカードは、エポスカードです。
うれしいことに、自動付帯なのでエポスカードを持っているだけで、海外保険が適用されます!
年会費無料で海外旅行保険に加入できるので、持っていなければ損ですよね。